どうも、とおちゃんです。
みなさんは理美容室って知ってますか?
一言で言えば理容も美容もあるところです。理容室と美容室が一緒になってるところっていうのかな。理容師と美容師が一緒にいるところっていう感じかな。
とおちゃんが行ってるところがそういうところで、理容と美容が同一店舗に併設されています。なのでその時の気分で今日は顔そりしたいから理容にしようとか、今日はパーマをかけたり染めたりしたいから美容にしようとか選ぶことができます。
なんか昔「りびはうす」っていう名前の理美容室があって、「りびはうす」ってなんだろうと思っていたのですが、名前のとおり理容と美容が一緒になったところだったんですね。
まあ、それでとおちゃんはその理美容室に通っている訳ですが、最近は理容を利用することが多いです(オヤジギャグみたい)。
理容と美容の大きな違いは、顔剃りがあるかないかだと思います。理容だと顔を剃ってくれるのでサッパリするし、マッサージも理容の方が丁寧で上手い気がします。
40過ぎてパーマをかけることも髪を染めることもなくなったので、もっぱら理容を利用しています(オヤジギャグじゃないですよ)。
一応理容も担当制があるようで、毎回予約する時に担当の指名はありますかと聞かれます。特にないですと答えるのですが、行くとだいたい同じ人が担当してくれています。
その担当の人が、まあ何て言うか、その、若干髪が薄いというか、もうぶっちゃけハゲているんですね。それもちらかっちゃってる感じで、つまりハゲちらかってる。
こんなこと言うのはよくないのですが、おいおいあんたで大丈夫かい?とおちゃんの髪は大丈夫なのかい?髪のことわかってるのかい?って心配になってしまいます。
しかしこの人めっちゃ上手。心配してたのが恥ずかしくなるくらいテクニックがあり上手にカットしてくれる。
ごめんよハゲ散らかってて髪のこと何もわかんないんだろうとか言って(T-T)
でも毎回この人が担当に付くたびに、不安と尊敬の気持ちが交差します。
さて、ある時この理容室に新人の子が入ってきました。名前が「大寺雅春くん」。
この大寺くん、どっからどう見ても日本人には見えません、どっからどう見てもインド人にしか見えないんです。
浅黒い肌にギラリとした目。身長はそれほど高くなく160cm前後か。
その大寺くんがとおちゃんの散らかってる担当の補佐に付くことになりました。
「大寺くんシャンプーお願い」
「ハイ」
大寺くんが呼ばれてとおちゃんの髪を洗うことに。近くで顔をよく見るとやはりインド人にしか見えません。ネームプレートには「研修生:大寺雅春」と書いてあります。
ん?
大寺雅春
たいじまさはる
タイジ・マサハル
タージ・マハル!!!
うそだろ、そんな安直な。でももう大寺雅春がタージ・マハルにしか見えない。
必死で笑いを堪えながら座っていると。
「カミヲナガシマス。マエノホウヘドウゾ」
と言われました。
首をシャンプー台の上に乗せシャンプーを待ちます。
大丈夫だろうか?インドからの研修生に日本の繊細な理容技術がわかるんだろうか?そもそも本当にインドから来たのかもわからないのですが。
そんな不安を抱きながら身を委ねていると、みごとな手捌きでシャンプーをし始めたではありませんか。やや強めながらも丁寧にまんべんなく洗い進めていく。
「カユイトコアリマセンカ?」
と聞かれたので、
「大丈夫です」
と答えると、洗う手をスピードアップさせて仕上げに入ります。
「ナガシマスネ。アツクアリマセンカ?」
「だ、大丈夫です」
みごとなシャンプーが終わった後、タオルを頭に巻いてくれたのですが、これがもう上手すぎる。サッ、サッ、ピシッと瞬く間に巻かれたタオルはピッタリと頭にフィットし、ズレ落ちる心配は皆無。その見事なまでの手捌きはやはりターバンを巻き慣れているからなのか。
ターバンを巻かれるがごとくタオルを巻かれたところで担当にバトンタッチ。見事なシャンプー見事なターバン。インド人だからと不安に思っていた数分前の自分を殴りたい。むしろインド人の方が理容師に向いているのかもしれない。ターバンを巻かれた頭を鏡で見ながらそんな風に思ってしまいました。
その後店内にかかる洋楽の有線を聴きながら、気持ちよく髪を切ってもらってる間に、とおちゃんの隣の席に60代くらいのオジさんが案内されて座りました。
そしておもむろに、
「パンチ当てて。緩めで。」
って言ったんです。
鏡越しにオジさんの髪型をチラ見すると、北島三郎が少し髪伸びた感じの髪型をしており、確かにパンチが伸びて具志堅くらいのアフロに近づいていました。
とおちゃんは今までパンチを当てるのを見た事がありません。
いったいどんな感じで当てるんだろうと、興味深々でチラ見していました。
伸びたパンチを軽く切り揃えるようカットして、何やら液剤を頭に塗り始めます。しばらく放置した後、パーマ用の機材が運ばれてきました。
店の隅の方に置いてあった、頭にかぶせるタイプの昔ながらのパーマ機です。
これでパーマを当てる人初めて見た。パーマを当てるっていう表現がピッタリな機材。当てるというかかぶるというべきか。
すると店内の有線から聴き慣れた曲が流れてきました。聴いたことあるんだけど何だったっけな。
そんなこと考えてる間にも着々とパンチを当てる準備がなされている。
有線の曲がサビ前に差し掛かり、ようやく思い出した。エアロスミスの「I don't wont to miss a thing」だ。
確か映画アルマゲドンの主題歌だったやつ。
「じゃあ、当てていきますね」
その曲がサビに差し掛かると同時に、オジさんの頭にパンチの機材が当てられる。
上からゆっくり降りてきたヘルメットのような機材がオジさんの頭にかぶさっていく。
そこにアルマゲドンの曲のサビがベストなタイミングで流れる。
「ドンワナクローズマイアーイズ!」
ゆっくり目を閉じるオジさん。
「ドンワナフォールアスリープコズミスベイベー」
ゆっくりかぶさるパーマ機がまるで戦場に旅立つパイロットがかぶるヘルメットに見える。
「アンドンワナミスアシーング!」
装着完了。
もうとおちゃん笑いを堪えるのに必死で顔が引きつってました。
何ちゅうタイミングでアルマゲドンを流すんだ。若干店員さんも笑ってるし、絶対サビのタイミングで意図的にかぶせようとしたとしか思えない。
かぶさってるオジさんを見るとジワジワくるので、なるべく視界に入れないようにしていましたが、目を閉じても浮かんでくるあの光景は今でも忘れられません。
オジさんのパンチが完成する前にとおちゃんは切り終わってしまったので、パンチ機材を外す瞬間は見られなかったのですが、外す時はバックにターミネーターでも流れててくれないかなって思いました。
少し誇張してますが実話です。
とおちゃんねるでした。